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TAIYO KIMURA

Sleep Walkers
木村太陽の作品世界は「批判」という言葉に端的に象徴されるのではないでしょうか。誤解されがちですが「批判」とは決して何かを悪く言うとか、否定的であることを前提としてはいません。むしろ、省察や精査を重ねることでより良い可能性を模索しようとする、極めてポジティブな態度です。
その意味で木村太陽の批判の対象となるのは、因習やシステム、自然や人間の生理と政治性の関わりなど、我々自身を取り囲む日常の些細な事象で、愚直なまでに根気の要る作業を積み重ねる制作プロセスは、大いなる回り道を辿るかのようです。そして個々の作品の仕掛けやギミックは、真摯でありながら、とてもユーモラスでシャイにすら感じられます。
それは、木村が威圧的で教条的な視点に立つことや、意味ありげな態度をとることを忌避しているからに他なりません。このことは、コンセプチュアルアートやミニマリズムそのものへの批判でもあり、こうした「批判の入れ子状態」こそが、木村太陽のアーティストとしての在り方を、独自のものにしています。